社会人になってから親の前で泣きわめいた話|連載第2回

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社会人になってから親の前で泣きわめいた話|連載第2回

連載:麻痺と一緒に
Jan 4, 2023

最近、親の前で泣いたことは覚えていますか?

 

これは社会人になった大の大人の私が

親の前で泣きわめいた時のお話しです。

 

「元気な内にできる事をやっておきましょう」

 

社会人になり、あるMRIでの検査をした時

頭の腫瘍が少しだけ変化していました。

 

 

「元気な内にできる事をやっておきましょう」

と、生体検査を行うことになりました。

 

 

その時、特に自覚症状はありませんでした。

 

 

初めての手術?緊張する。

すごくビビる。

でも何かわかるかもしれない。

 

 

とはいっても、何をするのかは

わかっているようで、わかっていなかった。

 

 

右後頭部にメスを入れて腫瘍を採取し、

何なのかを調べる。

 

 

それだけのこと。

 

 

 

「覚悟しろよ」

 

 

 

「もう少し真剣に考えなさい」

 

 

とでも言っているかのように、無意識に体は

先のことを何となくわかっていたようです。

 

 

手術日が決まってから立て続けに、

インフルエンザになり、

急性胃腸炎になり、

入院日程がずれました。

 

 

今振り返ると覚悟が足りなかったと反省です。

 

 

入院して、髪を全部剃り、ピース写真。

 

 

ホントなめてました。

 

 

「お腹すいた」

 

 

手術当日、

手術室に行く前に看護師さんから、

「すぐ麻酔で寝てしまいますけど、

何か音楽聞いていていいですよ」

と言われました。

 

 

イヤホンをつけ、

「AM11:00/HY」を流す。

 

メロディが流れだす。

 

 

目を覚ましたら、病室のベットの上。

 

 

すでに手術は終わり第一声は

「お腹すいた」

だったらしい。

 

 

天罰のはじまりです。

 

 

「手術は手術後に気をつけて」

 

 

病室のベッドで目を覚まし、

麻酔がまだ残っているからか

ボーっとしていたが、

徐々に覚醒してくると

ことの重大さに気が付きだす。

 

・メスを入れた 右後頭部がズキズキ痛い

 

・頭が腫れぼったい

 

・栄養剤の点滴と他にも管がたくさん

 

・膝上までの着圧ソックス

 

・オムツのゴワゴワ

 

極めつけは、

 

・お小水用に尿道に入れていた管が

動く度にチクッとジャブの連続

 

あれ?

 

手術終わったんじゃないの??

 

重症患者になってる???

 

 

焦りました。

 

 

動けるのに動けないのは、

物凄くストレスなんだなと実感しました。

 

 

初めてというのは、先が見えないから焦り、

焦りが焦りを煽る。

 

 

このまま病院出られない?

 

 

いやいやそんなことはない。

 

 

少し動こうものなら、

チクッと、

ゴワゴワと

締めつけと、

点滴だけでご飯が食べられない。

 

 

ストレスのオンパレード

 

 

手術が終わっても

メスを入れた頭は無事でも

傷からの感染等を防ぐために

まだ無事じゃないから退院できない。

 

 

すると、お腹が痛くなってきました。

 

 

触診しても何もなさそう。

 

 

お腹が痛い。

 

 

夜間診療でも何もない。

 

 

お腹が痛い。

 

 

胃カメラ飲んで診てみても何もない。

 

 

お腹が痛い。

 

 

痛みとイライラと焦りが噴出し、

親に八つ当たりしてたら止まらなくなり、

大泣きで、助けてとせがみました。

 

 

20歳を超えた一応、大の大人が。

 

 

泣き叫んでいるときに確か看護師さんもいて、

疲れて眠ってしまったのか、

麻酔で眠ったのか、

気が付いたら夜でした。

 

 

ベットの隣には、硬そうなソファを並べて

親が横になっていました。

 

 

原因がわからない痛みを訴える息子を前に

親はしんどかっただろうなと

反省してもしたりません。

 

 

胸が締め付けられる思いでした。

 

 

「救世主、登場」

 

 

それでもお腹が痛いのは消えません。

 

 

ナースコールを押して一人の救世主登場。

 

 

「お小水の管を抜いてみましょう」

 

 

看護師さんがガバッとズボンを降ろし、

バスっと管を抜く。

 

 

とりあえず、疲れていたから就寝。

 

 

次の日、目覚めたら、お腹が痛くない!

 

 

不思議。

 

 

結論としては、初めての手術でお小水用の

管を入れる覚悟が足りず、

なかなか抜けないストレスで

お腹が痛くなったのかな。

 

 

お恥ずかしい。

 

 

この一連の経験を踏まえて、

 

 

・人は小さなストレスから簡単に壊れる。

 

 

・お小水の管のあれこれは誰も教えてくれない

わざわざ取り上げるトピックにもならない。

 

 

主治医は手術室での事は事細かに教えてくれ、

同意書も書くが、それ以外はさらっと。

 

 

それが普通なのかな。

 

 

きっと説明してくれていたのかな。

 

 

登山には下山があるみたいに、

手術にはオペ室外にもいろいろある。

 

 

検査結果は、古い血が溜まっているようで、

悪性ではないことがこの時わかりました。

 

 

悪性ではないけど、診断名は変わらずなく、

定期的な経過観察は継続。

 

 

今となっては、悪性の腫瘍ではないことが

わかっただけでも良かったこと。

 

 

今となってはね。

 

PROFILE
川畑亮輔

川畑亮輔

1988年生まれ。会社員。左半身麻痺者。
2005年、部活中の脳震盪から脳内に嚢胞が見つかる。2010年にスポーツトレーナーの専門学校卒業後、2014年あたりから麻痺症状を自覚。診断名がつかず、現在も経過観察中。より良い生活が送れるよう、日々模索している。
「歩くこと」が生涯テーマ。趣味は下駄散歩。
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