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“病気したから旅に行けるんですよ!” 右半身麻痺での世界一周旅行 直前インタビュー

連載:編集部インタビュー
Jul 2, 2025
写真はイメージ

 

一度は歩くことすらできなかった。そんな彼が今、飛行機に乗って、一人で世界一周旅行をしようとしている。

喫茶店で待っていると、杖をつきながら、ゆっくりとした足取りで席まで来てくださいました。

今回は、笑顔が素敵な松原ゴンザレスさんに世界一周旅行直前にインタビューをさせて頂きます。

笑顔が素敵な松原さん

 

45歳で脳出血を発症

重国)本日は、よろしくお願いします! 世界一周の話の前に、まず、ご病気について教えて下さい。

 

松原さん)今から17年前、45歳の時に岡山県での出張先で倒れました。診断名は脳出血。あの当時は、とにかく仕事が忙しかった。残業も当たり前、 国内だけでなく国外への出張もたくさん行ってました。

写真はイメージ

 

重国)45歳ですか。今の私と同じ歳です、、、。日本だけでなく、世界を飛び回っていたとのことですが、どのようなお仕事だったのですか?

 

松原さん)仕事は、簡単に言えば、街づくりの技術屋でコンサルティングをしていました。私が直接的にたずさわっていたのは、交通安全、道づくりで、特にバリアフリーに関するガイドラインの策定などに関わっていました。国内だけでなく、国外は特にアジア諸国、インフラがまだ整っていない国の道路計画や点検に行ってました。印象に残っているのはパプアニューギニアでしたね。当時、治安が悪くて怖かったですね。

岡山県の出張も現地の障害者とともに現地点検作業でした。倒れたときは、運よく同行者の中に医師がいて症状を的確に判断してくださり、救急搬送となりました。今考えれば、やっぱり働きすぎだったのだと思います。深夜2時、3時まで仕事して、始発の飛行機で出張なんて、よくやってましたから。重国さんも注意して下さいね(笑)

 

重国)45歳!!気をつけます!!

 

半年間、集中的にリハビリして復職

重国)出張先の発症ということで、さらに大変だったのではないですか?

 

松原さん)岡山県内の病院で病状が落ち着いてから、都内の病院を経由して、回復期リハビリテーション病院に入りました。とにかく、リハビリ、リハビリの毎日で大変でしたよ(笑)

 

重国)今は笑顔で話して下さってますが、その当時の心境はいかがでしたか?

 

松原さん)もちろん落ち込みもしましたし、不安もありました。ただ、バリアフリーに関わる仕事をしていて障害当事者との付き合いもありましたから、病気の理解は一般の人よりもあったのだと思います。あとは、職場の同僚が仕事後の時間帯、要は夜間ですが(笑)よく面会に来てくれて、「いつから戻ってくるんだ。遊ぶのも疲れただろ!」って激励? してくれました。回復期リハビリテーション病院に半年間くらい入院して、やっと自宅退院。その後はすぐに仕事に復帰しました。真面目だったので(笑) 自宅近くから発車する始発のバスに乗って早めに職場に行くようにしてました。さすがに残業はしませんでしたけど。

 

「病気したから旅に行けるんですよ!(笑)」ってどういうこと?

重国)そして、来月から世界一周にお一人で行くとのことですが、病気されて、お身体も不自由な中、なんで行こうと思ったのですか?

 

松原さん)17年前に、病気したから行けるんですよ!(笑)

ユーモアたっぷりの松原さん

 

重国)どういうことですか!?

 

松原さん)あの時、病気していなかったら、今でもきっと、「残業だ!出張だ!」って、ずっと仕事してますよ(笑)少しゆっくりすることを覚えた今だから行けるんですよ(笑) あとは、仕事で海外を飛び回っていたので、海外に行くことに対してハードルがないのもありますね。

 

世界の街づくり、橋とかトラムとかがみたい!

【旅程表】

 

重国)旅程表をみせて頂いてますが、今回の旅、何かテーマはあるのですか?

 

松原さん)やっぱり、メインは、街づくりの変化、歴史ある特殊な橋などの構造物、大きい橋、トラム(路面電車)などの交通網とかですね。一度は見てみたいものを選りすぐりつなげただけで、一般の方が行くニューヨーク、ロンドン、パリは入っていませんね!(笑)

 

重国)そこは、やっぱりお仕事と関係して来るのですね!興味深いです!

松原さん!お願いがあるのですが、帰国されて落ち着いてからで構わないのですが、旅の様子を写真とともに記事にして頂けませんか?

 

松原さん)いいですよ!(笑) 生きて帰ってきたらですけど(笑)

ゆっくりですが足取りはしっかりです!

 

取材後記

インタビュー中、とにかくたくさんの笑いが起きました(笑)一般的には世界一周旅行なんて人生の一大イベントだと思いますが、松原さんにとっては、何だかとても世界が近い。やっぱり実体験、経験することが大切だと思わされました。

私も海外旅行は好きで、20代、30代前半は、よく一人で行っていたのですが、近頃はやれ「忙しい」とか「円安だから」と、行けない理由を探していたような気がします。

「え!?行きたければ行けばいいじゃない!」、「やりたいことをやるしかないじゃない」と、お話を伺いながら、知らない間に松原さんに元気づけられていました。

帰国されたら、またパワーアップした松原さんに元気をもらいに行こうと思います!!行ってらっしゃい!!

PROFILE
重國宏次

重國宏次

1980年生まれ。理学療法士。早稲田大学スポーツ科学研究科 スポーツ科学修士課程 修了。東京保健医療専門職大学 専任教員。十条かねたか整形外科で非常勤勤務。2021年外出や旅行を楽しむための身体づくりをサポートするトレーニング・コンディショニング事業「グッドレッグ」を起業。臨床・教育・研究・個人事業に携わりながらセラピストの新たな可能性を模索している。webマガジン「C」編集長。

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