私は、元スポーツ傷害当事者、理学療法士、また養成校の教員として「リハビリ」、「リハビリテーション」という言葉を使い、時には説明をしてきましたが、学生時代に「リハビリテーション」という概念を学んでから、日本において医療や医学、介護の場面でのみ使われていることに、もったいなさを感じていました。
そうした想いを発信する場所が必要だと感じ、仲間と共にこのWEBメディア「Cマガジン」を立ち上げました。
そして、創刊から1年になる節目に、もっと色んな方々に「Cマガジン」のことを知って頂きたいとの思いから、「THE リハビリテーション」というイベントを、2023年3月11日に@ケット(https://ket-asia.com/)で開催しました。
おそらく、一般的に「リハビリ」と言うときには、身体機能をよくする為に行う運動や作業のことなのだと思います。ですので、「リハビリをしてきた」という使い方をしているのだと思います。
本来「リハビリテーション(rehabilitation)」の語源は、reは「再び」+habilis「適した ; ラテン語」+〜ation「状態にする」で、「再び適した状態にする」こと「本来あるべき状態への回復」という意味になります。
元々、欧米では、政治的名誉回復、権利の回復、犯罪者の服役後の社会復帰を指す用語として使われていました。それが、第一次大戦後の戦傷者が職業訓練などで社会復帰をめざすなかで、現代の医学的なリハビリテーションのイメージが強くなったと言われています。
このように、言葉というものは、その時代背景の中でニュアンスや使い方が変化してもよい訳ですから、Cマガジンらしいリハビリテーションのとらえ方があっても良いと考えて、イベントの冒頭に、Cマガジンが考えるリハビリテーションの定義について以下のように伝えました。
Cマガジンが考えるリハビリテーションとは「あらゆる属性の生きづらさを改善すること、または、改善するように取り組むこと」です。
私は理学療法士として、障害者や高齢者にたずさわり、また、一方で教員として若い人達と接しています。
そして、日本に住む一人の40代の人間として日々様々なヒトと接して感じていたのは、障害の有無や老若問わずそれぞれの立場でみんな悩んでいるし、それを改善させたいと、もがいているということです。
Cマガジンは医学的リハビリテーションにとどまらず、様々の立場の人たちが感じている、生きづらさやそれを改善しようと試みていること、そのようなことを扱っていくメディアにしたいという想いをイベントの冒頭で伝えしました。
その後、イベントは集まってくださった様々な立場の人と交流し、「生きづらさ」をテーマに参加者と座談会を行ったりと、とても有意義な時間を過ごすことができました。
無事にイベントが終了し、コンビニへ買い出しに行く途中、誰かに不意に呼び止められ、振り返ると、イベントに参加してくれていた電動車椅子に乗車している方でした。
その方が「寄付するよ。」とおもむろに財布からお札を出して手渡してくれました。
冒頭のプレゼンテーションの際に、サイト運営費の寄付を募っていたのですが、私がバタバタと動き回っていたので直接手渡すタイミングがなかったのかもしれません。
私が
「こんなに頂いてよろしいのですか?」
と伝えると、
その方は
「頑張って下さい。」
と一言。
信号が青に変わり、その方は電動車椅子のレバーを前方に倒して、颯爽と横断歩道を渡っていきました。
私は、感謝の気持ちと、イベント終了の安堵感もあいまって、少しボーッとしながら、その方の後ろ姿を見送り、またコンビニに走りました。
人との出会いは面白いもので、時間が経つと、「あれ、私達、知り合ったのいつだっけ?」となったりします。特に社会人になってからの人との出会いは、きっかけが思い出せないことが多いように思います。
今回はこのコラムを通じて、記録させて頂きました。
この続きの話を次回以降に書ければと思います。
1980年生まれ。理学療法士。早稲田大学スポーツ科学研究科 スポーツ科学修士課程 修了。東京保健医療専門職大学 専任教員。十条かねたか整形外科で非常勤勤務。2021年外出や旅行を楽しむための身体づくりをサポートするトレーニング・コンディショニング事業「グッドレッグ」を起業。臨床・教育・研究・個人事業に携わりながらセラピストの新たな可能性を模索している。webマガジン「C」編集長。
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