電動車椅子で韓国旅行!遭遇したさまざまバリアも含めてみなさまに共有できればと思います!
旅行会社で航空券やホテルの予約をします。ここまでは、問題ありませんでした。
電動車椅子の正確なサイズを聞かれます。これは、メーカーのサイトで調べれば大丈夫です。折りたためるタイプでしたので、折りたたんだ状態と広げた状態で伝えました。事前に採寸しておくと楽かもしれません。
次はバッテリーの種類を伝える必要がありました。
「ドライですか?ウェットですか?」
私「なんですかそれは?知りません笑」旅行会社の方も分からないとのことで、その場で、すぐに調べました。
ウェットというのは、液体が入っているバッテリーのことで一部の自動車などに使われているようです。電動自転車や電動車椅子で一般的に使われているのは、この分類ではドライであることがわかりました。ドライバッテリーは液体が流れないために傾斜や振動に強いとのことです。
一般常識なのかもしれませんが、電動車椅子のメーカーサイトにも「ドライバッテリー」と載せておいてくれると助かるなと、思いました。
当日の朝、アツシさんと一緒に電車に乗って成田空港に向かいます。
都内の駅にはエレベーターがあってホームに行くのは問題ありませんでした。改札で駅員さんに電動車椅子で乗車することを伝えるとすぐにスロープを用意してくれて一緒にホームへ行きます。
付き添っていて、ホームドアのない駅のホームは少し怖かったです。
黄色い点字ブロックに電動車椅子の前輪が取られてしまい、操作が難しくなるとのことです。ホームを付き添う時は、線路側に位置しましょう。
成田空港に無事に到着。航空会社のカウンターで搭乗手続きをします。
搭乗ゲートまで電動車椅子に乗っていられて、搭乗直前に機内用の車椅子に乗り換えることになりました。これは一安心。
次は、電動車椅子のバッテリーを機内に持ち込むかどうかです。
航空会社内で決まりがない様子で、カウンターのスタッフが電話で確認しています。10分程度、待たされた後、予備も含めて2つのバッテリーを機内に持ち込むように指示されました。なるほど、そういう決まりなら、それに従うまでです。
しかし、帰りも同じ航空会社でしたが対応が違ったのです。
帰りの仁川(インチョン)空港のチェックインカウンターで、「成田空港では、機内にバッテリーを2つ持って搭乗するように指示されてそれに従った」と伝えました。また10分程度、待たされた末に、「1つは持ち込み、もう一つは車椅子に装着したままにして下さい」
もちろん、そう言われたら従いますけど。
同じ航空会社で対応が違うのが疑問でした。つまりマニュアル化されていないということです。スタッフの皆さんは丁寧に対応してくださっているのですが、やはり「飛行機の乗客として電動車椅子ユーザーが想定されていないのだな」と、感じざるを得ませんでした。
ホテルに無事到着しすると、アツシさんは「腰が痛い」と訴えます。
これは、2日目に一日中観光をしてした後もそうでした。
電動車椅子はタクシー移動には適していません。タイプにもよりますが、今回、旅行で乗っていたタイプの電動車椅子は折り畳みができないので、乗用車に乗せることができないからです。
ただ、とても性能が良いので、ソウル市内を縦横無尽に問題なく移動できました。私も一緒にとにかく歩きました。ここは体力勝負!
しかし、電動車椅子のアツシさんが楽なのか、と言えば、全くそうではありません。皆さんも、新幹線や飛行機に何時間も座っていることの辛さは想像ができると思います。とにかく、ずっと座っていることを強いられるのです。
ですので、ホテルに到着すると腰部と殿部、ふくらはぎにマッサージやストレッチを実施しました。
これは理学療法士が障害を持つ方の旅行に帯同することの一つの強みであるとも感じました。
ソウルは山に囲まれた盆地の中に発展した都市と言われています。ソウルタワーに登って、それを実感しました。
このような地形にありますのでソウル市内は坂道がとても多く、そのためか店先には段差があり車椅子で直接中に入ることができるお店が少なかったです。
アツシさんはサポートがあれば、歩くこともできますので店先に電動車椅子を置いて入店します。また、店内のトイレにも段差がありますのでサポートが必要でした。
私は海外旅行が元々大好きで、休みをとっては一人でリュックを担いで行っていました。
海外旅行は、障害がなくても不便です。英語がほぼできない私は、目的地にたどり着くのもやっとです。しかし、目的地に行くのに選択肢があります。バスの乗り方が難しいと感じたら、タクシーに乗って地図を示せば大抵はどうにかなります。そして、むしろこの不便さを体験するのも海外旅行の醍醐味だと思っていました。
障害を持っている方と旅行に行くのは初めてです。
当初の予定では地下鉄に乗って、あるレストランに行こうとアツシさんと計画を練っていました。いざ、地下鉄の改札に行くとそこに駅員さんはおらずスロープをお願いできませんでした。もしかしたら、スロープが必要なく乗れる車両なのかもしれないと、ホームで地下鉄を待ちます。車椅子のマークがある乗車口です。
到着したそこには10㎝ほどの段差がありました。乗れませんでした。
ホームドアにインターホンがあったので、押してみましたが、言葉が通じずにスロープをお願いできませんでした。電動車椅子はタクシーに乗せることができないのでレストランは諦めました。
障害がないと言語のバリアだけを超えれば、目的を達成できます。しかし、障害があってさらに言語のバリアがあると、身動きが取れなくなってしまう。当たり前のようですが、実体験とともに改めて痛感しました。
やってみないと、行ってみないと、わからない!これからも実体験を大切にしていきたいと思います!
最後まで読んで頂いてありがとうございました!
1980年生まれ。理学療法士。早稲田大学スポーツ科学研究科 スポーツ科学修士課程 修了。東京保健医療専門職大学 専任教員。十条かねたか整形外科で非常勤勤務。2021年外出や旅行を楽しむための身体づくりをサポートするトレーニング・コンディショニング事業「グッドレッグ」を起業。臨床・教育・研究・個人事業に携わりながらセラピストの新たな可能性を模索している。webマガジン「C」編集長。
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