理学療法士としての理想と現実。叶わなかった想い|連載第3回

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理学療法士としての理想と現実。叶わなかった想い|連載第3回

連載:FPに転職した元理学療法士
Jun 11, 2022

2018年の年末から2019年の年始にかけて大きな決断をしました。前回のコラムでも記載させて頂きましたが、政治家の秘書への異動を断ったのちにグループ内の別病院への異動が告げられたため、退職を決断しました。

 

生え抜きでリハビリテーション科の科長になるという目標は、あと一歩のところで断念した事は心残りでもあります。

自分の目標を断念し退職、それだけでも自分の中では大きな決断でしたが、さらに異業種への転職に至った訳ですが、その背景に、理学療法士業界に対する疑問を何点か感じる場面が増えてきたことも事実としてありました。

転職動機の要因でもあるのでその疑問についていくつか触れていきたいと思います。共感いただける方もいらっしゃるのではないかと思いますし、異なるお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、実体験をもとに振り返ってみたいと思います。

 

あくまでも私見としてご覧ください。

 

理学療法士としての将来をイメージした20代

 

みなさん、新卒で就職される時に初任給はいくらか、遣り甲斐はどうか、憧れの先輩がいるか、どんな事業展開をしているか、通勤経路などで選択していくと思います。私自身もそのような考えから就職活動をしました。なので、どのように昇給するか、退職金はどうかなど考えることはありませんでした。

 

約20年前の就職活動なので自分はインターネットで情報を集めるということは今ほどできない状況でした。

国家資格を持ち、真面目に働いていけば豊かな生活ができるであろう(そんなことは心配する必要ないであろう)と思っておりました。

 

 

苦労して臨床実習を乗り越え、やっとの思いで取得した国家資格。理学療法士という職業を生涯の生業にしていくと当然の如く考えておりました。

したがって、就職したての頃や20代ではあまり自分の年収には関心がなく、患者さんに理学療法を提供し、日々どなたかがありがとうと言ってくださる仕事に満足しておりました。

 

初任給は20万円に満たない額からスタートしました。4年目くらいに主任に昇格し、役職手当がつくようになりました。幸いなことに30歳まで実家から通勤できたため、20代は青春を謳歌できました(笑)。

同時期に年収600万円あれば安定した生活を送れると何かで目にしたことがあります。なので自分も40歳くらいには子供もいて、マイホームを持ち、年収600万円くらいもらえる人生を送りたいなぁ、と青写真を描いておりました。

 

充実した理学療法士人生を送っていた30代

 

ちょうど30歳を迎える時期に、一人暮らしを始めました。

 

実家暮らしの

「電気のついている家に帰ってこられる温もり」

「できたての食事を食べられるありがたさ」

「会話をしながら食事をする美味しさ」

などなど、当たり前にあったことのありがたさに気付くことができました。

 

一人暮らしをしたおかげで新たな家庭を築きたいと思えるようになり、ご縁あって結婚することができました。

 

 

 

グループ病院に入職し2年経過した頃、都外に新設した急性期病院の開設要員として出向しました。この時もありがたいことに32歳の私に科長代行という役職を与えてくださり、役職手当があがりました。

 

その頃、人生最大の買い物であるマイホームを購入。

 

このように30代前半はライフイベントがもりだくさんでした。

 

勤務先の経営破綻のため退職(初めて退職金を受け取り現実を知る)

グループ病院へ入職(待遇を保って下さったことに感謝)

30歳ではじめての一人暮らし(当たり前にあったことのありがたさに気づく)

結婚(私は一人では生きていけないと再確認)

新設病院で科長代行へ昇格(覚悟を決めて仕事をしようと決断)

マイホーム購入(35年ローンの始まり)

 

 現実と理想のギャップ

 

社会人10年目くらいに科長代行に昇格し役職手当が加算され、役職に応じた昇給率となったため自分としては恵まれたキャリアアップと思っております。

 

しかし、39歳で、まさかの秘書への異動話。

現実はイメージ通りにはいきませんでした。人生山あり谷ありですね。

 

 

 

理学療法士という生涯資格を取得した喜びに浸り、40歳くらいには年収600万円に到達したいという若かりし頃に描いた青写真の実現はこのままでは厳しいという判断に至りました。

 

また、勤務先の経営が破綻し退職を余儀なくされ、8年間在籍による退職金が支給されましたが、正直「こんなもんなんだ…」と。

 

若い理学療法士の皆さんへ

 

現役で理学療法士として活躍されているお若い皆さんは、たくさんの可能性を秘めていると思います。私はレアなケースかもしれませんし、同じような収入経過を辿るとは思いませんが、今回は私が理学療法士から転職した動機となった事を、実例の一つとしてお伝えさせていただきました。

 

次回、自分の進路に関するその他の要因も含めて生命保険外交員という異業種の転職に至った経緯をまとめさせて頂きたいと思います。

PROFILE
古川広明

古川広明

1979年3月31日大阪生まれ東京育ち。妻と0歳児の娘と神奈川在住。理学療法士。現在、外資系生命保険会社に勤務。趣味はゴルフと活き活きとした乾杯。
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