プロ注目で最速152キロ右腕の京大・水口創太投手(4年=膳所)が5回から登板し、1イニング1失点だった。NPBスカウトも見守る前でマウンドへ。本来の球威はなく2安打で1点を失ったが、2死一、三塁では縦割れのカットボールで空振り三振を奪った。「実習があって練習できていないなかで、しっかり投げられた」と話した。

昨秋、剛腕ぶりを披露して一躍、注目を集める存在になった。194センチ、94キロと体格にも恵まれる。医学部の人間健康科学科で、理学療法を研究。この春は平日5日間は病院でのリハビリテーション実習があるため、十分な練習時間を取れない。「なかなか万全の状態で投げるのは、春は難しい」。平日はキャッチボールも行えず、壁当てなどで感触を確かめる程度だという。この日も速球は130キロ台にとどまり、調整不足は否めない。だが、いまはドラフト候補としては異色の文武両道を追究し、自分だけの道を歩んでいる。

元ソフトバンク投手の近田怜王監督(31)も親身に接する。「プロに行きたい目標がある以上、目指すところは高い。工夫しながらね。いい球を放れなくても何かしらの結果を残していってほしい」。故障のリスクを軽減するため、当面は負荷のかかる登板は回避する方向だ。それでも、水口は前を向く。「後半を任せてもらっている。コンディションは難しいですが、行けと言われればゼロで抑えたい」。チームは開幕節では昨秋優勝の関大から、82年秋以来、40年ぶりに勝ち点を獲得。この日、同大に連敗したが、リーグ優勝の目標もある。最善を尽くして、ナインとともに頂点を目指す。【酒井俊作】