「おじさん」、「おばさん」、「シニア」と「お年寄り」。年齢に対する呼称は人それぞれです。
今回、サントリーウエルネス(株)は、年齢意識に関する全国アンケート調査を実施しました。
それでは結果をご紹介しましょう。
【調査概要】
調査手法 :インターネットでのアンケート調査
対象者 :全国の20~79歳の男女 10,894名
実施期間 :2021年12月10日~2021年12月15日
調査委託先:株式会社マクロミル
まずは、日本人がもっている年齢意識を様々な切り口で紐解いた調査結果を紹介します。
※年齢意識の集計条件:回収サンプルに対して、都道府県別の実際の人口構成比に合わせたウエイトバックを実施(WB値が2.0未満に調整)
「シニア」「おじいさん・おばあさん」「お年寄り」という言葉からイメージする年齢を質問したところ、「シニア」が平均61.6歳、「おじいさん・おばあさん」が平均69.0歳、「お年寄り」が平均73.1歳となりました。意味としてはどれも似たような言葉と思いがちですが、最大で11.5歳の差があり、呼称に対するイメージは大きく違うようです。
“「最近の若者は…」とつい思ってしまうことがありますか”と質問したところ、40代の49.4%がピークで、以降年齢が上がるにつれ、「最近の若者は…」と思わなくなるという結果となりました。「最近の若者は…」という言葉は、高齢者が使いがちな言葉とイメージしてしまいますが、実際は現役世代の40代・50代がそのような感情を持つことが多いことがわかりました。
“何歳でも大学で学び直せるような社会になってほしいですか”と質問したところ、全世代平均65.8%、70代が世代間で一番高い70.5%という結果となりました。全世代的に学びたい意欲が高かったのですが、その中でも70代は意欲が高く、いくつになっても、学び直しや、新しいことに挑戦したいという意欲は上がることがわかりました。
続いては、日本人の「実感年齢」に関係する個人の特徴を、様々な切り口から紐解いた調査結果を紹介します。
実際の年齢とは別に、自分自身で感じている自分の年齢=「実感年齢」別に全国ランキング化したところ、第1位は和歌山県(-3.51歳)、2位は高知県(-2.81歳)、3位は大阪府(-2.80歳)、4位は兵庫県(-2.75歳)、5位は鳥取県(-2.67歳)と、全国ランキングのTOP5がすべて関西から西のエリアという結果になりました。
第1位の和歌山県は、全国平均に比べ「年齢を意識せず、自分が好きな服を着たい」「体だけでなく心の健康も大切と思う」「睡眠時間は十分とっている」という人が多く、体への健康意識が高いだけではなく心の健康を重視したりするなど、心と体の健康バランスが取れていることが実感年齢の若さに繋がっているようです。
第2位の高知県は、調査で「パーティが好き」「みんなでカラオケで盛り上がるのが好き」という人が多く、友人と一緒に楽しむ時間を大切にしていることが、実感年齢にも影響しているのかもしれません。
第3位の大阪府は、「自分の個性を主張したい」「主役になれる環境に満足」という人が多く、「人との関わり」に対する関心の高さが、実感年齢にも影響しているようです。
“あなたはご自身の「実感年齢」を何歳と感じていますか”という質問に対し、20代、30代は実年齢より実感年齢の方が高いと回答。回答者の実感年齢と実年齢の差分を年齢別に平均したスコアを見ると、ちょうど37歳で実年齢と実感年齢の関係が逆転し、40代以降は実年齢より実感年齢の方が若いと回答。年代が高くなるにつれて、実年齢との差は大きくなり、特に55歳くらいを境にその差は顕著になっていきます。
“「美容やファッション」をテーマに、記載の項目についてどれくらい当てはまるか“という質問の中の、「ファッションは自分の個性を表現するものだと思う」「自分の姿を鏡でよくチェックするほうだ」「髪型にはこだわっている」という項目に対して、実感年齢を実年齢より若く答えた人たちは、高く答えた人たちに比べて最大で21%以上高い結果となりました。
実感年齢が若い人は、より活発に外で活動する人が多く、外出に必要なオシャレに気を遣う人が多いことが読み取れます。また、「自分の素肌に自信がある」「肌つやを気にかけるほうだ」「爪のケアを怠らないほうだ」「同年代と比べて白髪が少ないと思う」という項目に対して、実感年齢を実年齢より若く答えた人たちは、高く答えた人たちに比べて最大で20%以上高い結果となっていることから、美容にも気を遣う人が多いことがうかがえます。
“「デジタルとの関わり」をテーマに、記載の項目についてどれくらい当てはまるか“という質問の中の、「同世代と比べて自分はデジタルに詳しいと思う」「スマートフォンを使いこなしている」「SNS(Twitter・facebook・Instagramなど)を使いこなしている」という項目に対して、実感年齢を実年齢より若く答えた人たちは、高く答えた人たちに比べて10%以上高い結果となりました。実感年齢が若い人は、より活発に活動する人が多く、その必需品としてのデジタルアイテムを使用しているため、デジタルリテラシーが高いことが読み取れます。
人は誰でも歳をとっていきます。「心」や「体」に自信がなくなっていくのは当然のことです。実年齢ではなく「年齢を感じる」こととは? これは、日々変化する心身から自身の“若さ”をいかに主観的・客観的に捉えているかという「実感年齢」により表されます。この白書を通じて「実感年齢」を考えていくことは、我々一人一人の健康のあり方を見つめ直すだけでなく、超高齢社会や、あたりまえに人と接することがまだまだ難しい情勢のこれからにおいても、重要な取り組みとなるのではないでしょうか。
また、今回の調査を通じて、「実感年齢」を若く回答した人は、生活満足度の高さと関連性をもつという結果が浮かび上がりました。特に「実感年齢」が若い人において、好奇心、積極的な外出や人との交流といった、やりたいことを楽しむことのできる「心」のあり方がポイントとなっている点は興味深いところです。「心」と「体」が共に充実していることが、生活満足度を高め、「実感年齢」を若く保つことにつながるのではないでしょうか。
そして、人生100年時代において、実年齢に縛られずに「実感年齢」を若く保つことは、自分自身をきちんと理解できる力そのものであり、イキイキとした毎日につながるのではないかと思います。
監修者プロフィール
兒玉 隆之 (京都橘大学健康科学部 教授)
1992年国立療養所福岡東病院附属リハビリテーション学院卒業後、理学療法士として脳神経障害患者のリハビリテーションに従事しながら、久留米大学大学院医学研究科を修了(博士(医学))。現在は、京都橘大学健康科学部教授および久留米大学高次脳疾患研究所研究員を務める。専門である神経生理学およびリハビリテーション科学領域の立場から、脳波解析を主なツールとし人の「脳内機能ネットワーク」や「こころとからだの健康」の解明に取り組んでいる。近年は、応用脳科学の視点から脳波による情動可視化の研究にも取り組んでおり、自動車や化粧品会社などとの企業共同研究も行っている。日本ヘルスプロモーション理学療法学会理事・評議員。著書・共著に『神経・生理心理学』、『Neurological Physical Therapy』などがある。
出典:サライ.jp
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