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小学生時代から違和感を封印

　宮崎県新富町を拠点とするヴィアマテラスは2021年から九州女子リーグ2部に参入し、8戦全勝で優勝。22年はリーグ1部、今季はなでしこリーグ2部とスピード昇格を果たし、来季はアマチュア最高峰の1部で戦う。快進撃を支えてきたのが斉藤選手だ。

　埼玉県出身で4歳からサッカーを始めた。小学生になると女性としての体の変化に違和感を抱いたが、他者の目を気にして気持ちを封印。中学生になるとスカートをはき、髪を伸ばした。

　高校生の頃にLGBTという言葉を知り、違和感の正体がわかった気がした。女性の体で生まれたが心は男性のT（トランスジェンダー、性自認と体の性が一致しない人）にあたると考えるように。男性らしく振る舞っても不思議がられない「セーフティースペースのような」サッカーにのめり込んだ。高校卒業後の11年、東京電力女子サッカー部マリーゼに入団。この年、日本代表「なでしこジャパン」メンバーにも選ばれた。

「男性として生きるなら」一度は引退

　埼玉や長野のチームでも活躍する一方、性別への違和感は続いた。「男性として生きるなら女子サッカーにはいられない」と考え、19年シーズン限りで引退。当時26歳。名前を「あかね」から「夕真」に変え、男性ホルモンの投与を始めた。

　それでも、サッカーへの思いが消えない中、男性にも女性にも当てはまらないと感じる性的少数者を指す「Q」という言葉を知った。

　振り返れば、名前を変えるなどして心は落ち着いたものの、「男性になりたい」という強い思いはなかった。「どっちつかずは許されないと思い込んでいた。そうじゃなくてもいいんだ」。男性ホルモンの投与をやめ、サッカーをもう一度やりたいとチームを探すなかで出会ったのが、20年に発足したばかりだったヴィアマテラス。競技から離れた自分も「役に立てるんじゃないか」とクラブ側に連絡をとった。