日本学術振興会特別研究員の採択率が女性よりも男性で高いことを、兵庫県立人と自然の博物館の京極大助研究員と宮崎大学の和田葉子助教の研究グループが明らかにした。
研究助成金などの審査過程において、審査委員のもつ無意識のジェンダーバイアスが審査結果に影響する可能性が指摘されている。しかし、これらの研究は欧米を対象としており、日本における実態は明らかとされていない。
本研究では、日本の若手研究者の登竜門ともいえる日本学術振興会特別研究員制度を対象に、2017年度から2021年度までの5年間の審査で男性応募者と女性応募者の採択率に差がみられるかを調査した。
その結果、調査対象としたプログラムの全てで、女性よりも男性のほうが採択率が高いことが明らかとなった。また、学生を対象とした制度よりも、博士号保持者を対象とする制度で男女差が大きいなど、キャリアが進むほどに採択率の男女差が大きくなる傾向も認めた。
そのほか、採択率の男女差と相関する要因として、海外特別研究員制度とPD(博士号取得者が対象)では、数物系科学や医歯薬学系などの研究分野で採択率の男女差が大きい傾向が確認された。また、PDでは女性応募者が多いほど採択率の男女差が小さくなり、DC1(博士課程1年生が対象)では女性の応募者が多いほど採択率の男女差が大きくなるという逆の傾向も発見した。
興味深いことに、応募者に占める女性の割合は、より若い応募者を対象としたプログラムで低い傾向があったといい、女子学生よりも男子学生の方が積極的に日本学術振興会特別研究員に応募している可能性がある。こうした男女間の行動特性の違いも、今回の結果に影響しているかもしれないという。
本研究は、助成金採択率の男女差を欧米以外の国で初めて定量的に明らかとし、日本においても審査過程で無意識のバイアスが働いていることを示唆するものである。この成果は、より公正な審査を行うためにどういった取り組みが必要であるかを検討する出発点となることで、女性研究者が活躍しやすい環境づくりにつながることが期待される。
引用:大学ジャーナル
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