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作業療法で用いられている集団作業の効果を実証 ~2人で場を共有して個人作業をすると緊張が緩和~

Aug 8, 2023

作業療法で用いられている集団作業の効果として、2人で場を共有して個人作業をすると緊張が緩和することを、大阪公立大学らの研究チームが明らかにしたと発表した。

大阪公立大学リハビリテーション学研究科と大阪河﨑リハビリテーション大学らの研究グループは、作業療法で用いられる集団作業や手工芸活動の治療効果を、脳波による「集中」の指標と心電図による「自律神経活動」の指標で分析。30名の健康な若年成人を対象として、1人、2人(各自の作業)、2人(非作業者は観察者)の3つの条件で、手工芸活動中の脳波と自律神経活動を測定し解析を実施した。

その結果、リラックス効果を表す副交感神経活動は1人より2人(各自の作業)で有意に高まることが明らかになったと報告。また、2人(各自の作業/非作業者は観察者)の手工芸活動において、集中状態の指標となるFmθが出現した人は、出現していない人より副交感神経活動が有意に高まることも明らかになったとしている。

一方で、本研究の測定は実験環境で行われたため、今後はより臨床に近い環境で脳波や自律神経系の活動を測定し、臨床的な有効性を判断する必要があるなど、研究の限界にも触れられている。

著者らは「精神科での作業療法はその治療効果や機序の説明が難しいとされてきました。生理学的な観点からの研究の結果、直接触れたり話したりせずとも、他者と一緒に、また集中して作業に取り組めば、副交感神経活動を高めることが明らかになりました。今後はより効果的な作業療法を提供するための構造や環境を明らかにしていきたいと思います。」とコメントしている。

本研究は、2023年7月4日に国際学術誌「Neuropsychobiology」にオンライン掲載されており全文閲覧が可能。

プレリリース:https://www.omu.ac.jp/assets/PR0720_date.pdf

論文:https://karger.com/nps/article/doi/10.1159/000531005/854272/Social-Buffering-Effects-during-Craft-Activities

引用:PT-OT-ST.NET

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