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芥川賞の市川沙央さん、障害当事者という取り上げ方「かまわない」…「中2病」でライトノベル

Aug 4, 2023

第169回芥川賞に決まった作家の市川沙央さん(43)は、作家の島田雅彦さんや大江健三郎さんの作品を愛読し、20歳を過ぎた頃から小説を書き始めたという。受賞前の取材で、執筆への思いを語っていた。

――執筆を始めた時期やきっかけを。

執筆を始めたのは昨年8月です。当時、大学に通って「当事者表象」の研究をしていました。実例があまりに少ないので、自分で実例を目指すしかないのかなと思いました。

――障害の当事者として今作執筆の難しさやためらいはありましたか。

 割とはっきり当事者表象をやろうと書き始めましたので、それが目的だったわけです。(昨年の芥川賞で候補者全員が女性という話題の取り上げ方に批判がありましたが)障害者の場合、そのレベルには至っていないと思っています。文化環境も教育環境も遅れている。だから、私は当事者作家という取り上げ方をされるのはかまわないと思っています。

 ――当事者として、ご自身の経験はどのくらい織り込まれていますか。

 (以前に)30%とお答えしましたけど、まあ、そのくらいだと思っています。

 ――「読書文化のマチズモ」という一文に関心をもった読者が多いようです。

 そこが一番伝えたかったので、通じたことがうれしく思っています。

 依然として紙の本を出さないと商業作家としては認められないという風潮があるので。20年間、文学賞に落ちていたので、墓石に刻もうと思っていました。「一生紙の本が出なかった女」と。だからこの計画は頓挫しました。

わたしはライトノベルをずっと書いていたので、芥川賞は関係ないと思っていました。全然デビューすらできなかったんですけど……結局、何かものを書いている以上は芥川賞につながっているんだなと今回わかりました。そういう部外者がポッと移ってきたときに、吸い上げるシステムが構築されていることはすごいなあと思っています。

――「iPadmini」を使って執筆されているそうですね。

 iPadminiで第一稿を書いて、ノートパソコンで清書して完成させます。

 ――タブレットを使う前は。

 最初はドコモの「ブラウザボード」、その次はシャープの「ザウルス」を使っていました。

 ――これまでの執筆経験は。

 長編は、30作ぐらい書きました。300枚前後の長編。100枚前後のものも20~30作ほど。年に1~2作は書いていました。

 ライトノベルを書いていたのは、簡単にいうと「中2病」だからです。10代から戦争や政治にけっこう興味があって、ライトノベルはそういうものを気軽に書けるんです。ライトノベルの主人公ってみんなエリートですよね、王様とか。「十二国記」とか「銀河英雄伝説」もそうですよね。そういうものが好きで書いていました。

――文学賞への投稿歴は。

 ライトノベルを中心に、コバルト、角川ビーンズ小説大賞、電撃小説大賞、ハヤカワSFコンテストなどなど。新潮の日本ファンタジーノベル大賞も出したかな。そういう感じです。

――純文学を書いたきっかけは。

 純文学は初めてです。なぜ純文学を書いたかというと、去年一番自信があったファンタジーが落選し、もう駄目だと思ったからです。

 ――小説以外にはまっていることは。

 ピアノを聞いたり、タロットをやったり、最近は洋服が必要になったので、暇ができると洋服を探しています。首の部分が空いていないと駄目で、体が曲がっているので、ふわっとしないと入らないんですよ。試着もできないし、結構考えて探しています。

――早稲田大通信課程の在籍期間や30歳代で勉強しようと思った理由は。

早稲田は4年通いました。通信大学の資料を20歳代で取り寄せていましたが、スクーリングが必要でした。今はオンラインでも良くなったので。その情報を知るのが遅れて30歳代で知って、入りました。

 ――好きな小説のジャンルや作家を教えてください。

 雑食で、ミステリーもSFもファンタジーも国内外のものをいろいろ読みます。日常のものは苦手で、ある意味純文学には、あれなんですけど、全体小説みたいなものが好きです。

引用:読売新聞

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