地方で暮らすLGBTQなどの性的少数者の自死をなくすための支援イベントが、高松市内であった。出生時の性別と性自認が異なるトランスジェンダーが生きづらさを抱えてしまう社会の問題点について、当事者や家族ら4人が実体験を交えて語り合った。
2022年度の厚生労働省支援事業の一環で、香川県内の当事者団体「あしたプロジェクト」などの主催で7日に開催。会場の高松市立一宮中学校では、女性として暮らすトランスジェンダーでタレントなどの活動をする西原さつきさん、高松市の子育て支援団体代表の中村香菜子さん、あしたプロジェクトの福井瑞穂副代表ら4人が登壇した。
福井さんは性自認が男性だが、出生時の性別の女性として扱われることに苦しみ、15年ほど前に睡眠薬を大量に飲んだ過去を告白。「心の中で息が吸えないぐらい(死にたい気持ちが)ほこりのように積もっていて、家族も友達も先生も誰も『掃除』してくれなかった」と振り返った。
福井さんの姉の中村さんは「妹」の福井さんが抱える性別違和に当初は寄り添えなかったという。「(性別適合)手術を知り、『女の子の瑞穂』が死んでしまったような気がして悲しかった」と吐露した。
中村さんは家族が「幸せになれないのでは」と心配する気持ちが、当事者を追い詰めてしまう言動の根底にあると指摘。性的少数者のロールモデルが社会に少ないため、「まずは情報を知ることが大切。当事者や家族同士がつながる場所があればいい」と話した。
西原さんはテレビドラマがきっかけで性同一性障害について知り、16歳で女性ホルモンの注射を開始。「この決断を誰にも相談できなかったのが一番しんどかった」と打ち明け、「死にたくなる感情は気がつくとたまってしまう。どうやってきれいにしていくか考えたい」と語りかけた。【西本紗保美】
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引用:毎日新聞
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