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精神疾患の母親に代わって家事を…ヤングケアラーの女性が見つけた居場所 支えられ作業療法士に 北海道

Jun 3, 2022

介護を担う子どもヤングケアラーについて、北海道は支援を本格化させています。そのキーワードは「居場所」です。

孤立しながら母親のケアを続けてきた女性が見つけた居場所。そして支えた人たちの物語です。

精神疾患のある母親のケアを続けるヤングケアラーでした。そんな時、見つけた居場所。それが未来を開く一筋の光になりました。

札幌市の大学生、尾崎瑠南さん(当時21)。精神疾患のある母親のケアを続けてきました。

母親の代わりに、2人の弟と家事を分担していました。

瑠南さん:「小学2年生の頃から(母親の)うつの症状もひどくなって、洗濯、掃除、調理。母親が調子悪い時は、病院に付き添った」

瑠南さんのように、家族に代わって家事や介護を担う子どもを「ヤングケアラー」といいます。

尾崎瑠南さん(当時21)

 中学生の17人に1人いるとされています。

母親の直美さんは、家で自傷行為をすることもありました。

そのケアも瑠南さんの役割でした。

瑠南さん:「(母親が)自傷行為しそうな時は、危ないものを隠したり、ターゲットが自分にされそうな気がしてちょっと怖くて」

母親の直美さん。症状を子どもたちに説明することは難しく、孤立していました。

母 直美さん(仮名):「子どもたちに分かるように説明するのが難しい。うちの母さんは『何にもしないでただ寝てる人』って言われたことはあります」

瑠南さんの心の支えになった場所があります。生活保護やひとり親世帯の子どもの学習支援を行う、認定NPO法人カコタムの教室です。

瑠南さんが見つけた”居場所”

 勉強や食事…仲間やスタッフと過ごすうち、家庭の悩みも話すことができるようになりました。

瑠南さん:「家庭に問題を抱えている子どもが多いので、たまに愚痴言ったり、一緒に遊んでいるだけで気が紛れたり、いい友達と巡り合うことができました」

高校2年生の時には、大切な場所がもうひとつできました。カコタムが一軒家を借りて作った子どもたちの居場所「ゆるきち」です。

母親との関係が悪い日も、ここに来ると安心しました。
カコタムの代表、高橋勇造さんです。

認定NPO法人Kacotam 理事長 高橋 勇造さん:「家庭との距離をおくために、ゆるきちで過ごす時間を提案したのは覚えてる」

瑠南さん:「支えてくれる存在がいないと…正直ここまで生きていたかも分からないレベルなので」

勉強を続け、大学に合格。夢はリハビリなどを担う作業療法士です。

ひとり暮らしを始めて距離ができたことで母親との関係も安定してきたと感じています。

この春、大学を卒業しました。

「作業療法学専攻・尾崎瑠南」

卒業式に駆けつけてくれたのは、母親の直美さんでした。

母 直美さん(仮名):「いろんな苦労を、しなくてもよかったはずの苦労をさせてきてしまったので、申し訳ない気持ちはいっぱいあるんですけど、ここまで立派に成長してくれて。もう言葉が出ないです」

瑠南さん:「最後の卒業式、見てもらえてよかったかなと思います」

作業療法士として歩み出した瑠南さん

 4月から作業療法士として病院で働き始めました。

瑠南さん:「まず、こちらの方で練習してみましょうか。一度立ち上がっていただきます」

働くかたわら、カコタムで学習支援のボランティアもしています。

子どもたちの気持ちに寄り添います。

瑠南さん:「いつもいる人だけど、話を聞いてくれる身近なお姉さんというか。
困っていても困ってなくても、話してもらえる存在になりたい」

ヤングケアラーが居場所を見つけ、自分らしくいること。それは孤立する家族にとっても大切なことだと感じます。

瑠南さん:「家庭の中に一歩でも入ってくれる大人がいたら、子ども側も助かると思いますし、保護者も相談できる相手ができたら、不安を抱え込んだりしないのかな」

安心できる居場所、信頼できる大人。今度は自分がそんな存在になろうとしています。

引用:北海道ニュースUHB

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