いざというときクッションが防災頭巾に 1万円の大台を超える値段は品質に対する自信 大阪の作業療法士が開発

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いざというときクッションが防災頭巾に 1万円の大台を超える値段は品質に対する自信 大阪の作業療法士が開発

Jul 27, 2022

【令和を変える!関西の発想力】 地震大国ニッポン。特に1995年に阪神淡路大震災が起こって以来、およそ四半世紀の間に東日本大震災や熊本地震など未曽有の大地震が頻発しています。また近い将来、首都圏直下型地震や南海トラフ大地震など巨大地震が予測されており、予断を許さない状況です。 それなのに、日ごろの防災対策はなかなか進みません。住友生命保険が今春発表した「わが家の防災アンケート2022」でも、自宅の防災対策に対する自己採点は36・8点に止まっています。大半の人が「わかっちゃいるけど実行できない」とモヤモヤしている様子が伺えます。 そんな中、大阪府箕面市の作業療法士、野村寿子さんが、学校で子供たちの命を守る防災クッションを開発しました。

教室の椅子に取り付けるだけで、普段は子供たちの姿勢を正す機能を発揮し、いざという時にはクッションの背の部分が防災頭巾に早変わりする優れもので、商品名も学校で使うことを想定し、「ピントスクール」と名付けられています。 「もともと授業を受けながら子供の姿勢を正すクッションを作っていたのですが、当時の箕面市長から防災頭巾にもならないかとヒントをいただき改良しました」と野村さん。そんな経緯もあって、多くの小学校に導入されるはずだったのですが…実際に売れたのは数校のみ。野村さんは「大阪人にはなかなか買ってもらえません」と苦笑いしています。 売れない一番の原因は機能性ではなく価格設定でした。1万500円の価格はクッションとしては高額なこと、さらに1万円の大台をわずかに超える端数が、大阪人には受け入れがたいのです。端数カットは当たり前と思っているので、わずかに大台を超える額を見ると「これ、負かりまへんか」と値切り交渉してしまいます。しかしこのクッションには専門技術が結集されているので、この価格がギリギリ。わずか500円でもオマケできないのは、品質に対する自信ともいえるでしょう。 野村さんは、作業療法士歴38年の大ベテランです。作業療法士とは主にリハビリテーション分野をサポートする医療従事者で、野村さんも以前は障害者の福祉施設で働いていました。 そして、自分の技術は一般の人たちにも広く生かせると考えて、福祉商品の製造販売を手掛ける「ピーエーエス」の創業メンバーに加わりました。現在、同社の村口健一社長とともに、作業療法士の技術を生かしたユニークな商品を、次々と世に送り出しています。 なかでも、このクッションには思い入れが強く「地震だけでなく、昨今は巨大台風や大雨、雹も子供たちを襲います。学校で命を守るためにこのクッションは絶対に必要です。ぜひ多くの学校に導入してほしい」と熱心に呼びかけています。確かに、天災から子供たちを守ってくれるなら1万500円は安いもの。特に最近の異常気象にはしっかりした備えが必要です。ここは大阪人も、価格よりクッションの防災機能性に注目しましょう。妥協しない技術力の結集を積み上げて、コストを追求した結果の価格には意味があります。 (隔週水曜日掲載) ■殿村美樹(とのむら・みき) 株式会社TMオフィス代表取締役。同志社大学大学院ビジネス研究科「地域ブランド戦略」教員。関西大学社会学部「広報論」講師。「うどん県」や「ひこにゃん」など、地方PRを3000件以上成功させた〝ブーム仕掛け人〟。

引用:夕刊フジ

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