“魔法のつえ”でeスポーツ 障害者向けに愛媛で産学官連携開発

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“魔法のつえ”でeスポーツ 障害者向けに愛媛で産学官連携開発

Jun 28, 2022

コンピューターゲームの対戦競技「eスポーツ」を障害のある人たちに普及させ、楽しみながら社会参加や機能訓練に役立ててもらおうと、愛媛県が産官学の連携で専用コントローラー(機器)の開発に乗り出した。自立支援につなげる展開も見据える。eスポーツは障害の有無に限らず、年齢や性別などの垣根を越えて交流できる可能性を秘める一方、ハンディのある人の参加促進には個々の障害に合わせた機器の工夫も求められる。“魔法のつえ”が開く未来とは――。

オーダーメードのコントローラー

梅林さん専用に作られた特注コントローラー=今治療護園提供拡大
梅林さん専用に作られた特注コントローラー=今治療護園提供

県は2020年度から、県内各地の障害者支援施設などを「eスポーツモデル施設」に認定し、機器の無償貸与やイベント開催を支援してきた。また、松山市内のIT専門学校の協力を得て障害者向けゲームアプリの開発も推進。21年度からは、AI(人工知能)やロボット開発の技術を持つ地元企業「ディースピリット」(松山市)とタッグを組み、既存のコントローラーでは競技への参加が困難な重度障害者向けに、オーダーメードのコントローラー作りに取り組む。

モデル施設の一つ、今治療護園(同県今治市)に通う梅林淳子さん(59)は21年11月、県から“第1号”となる特注の専用コントローラーをプレゼントされた。脳性まひで手足の可動域が狭い梅林さんは、通常の仕様ではボタンが小さすぎて操作できず、施設の他の利用者が対戦を楽しむ姿に孤独を感じることもあったという。

「みんなとつながる」

ディースピリットは、本人へのヒアリングを通して、梅林さんには手と足両方で操作するコントローラーが最適だと判断。手でスティックを傾けることで方向を指示し、足元の大きなボタンを足で押して動きを決定する。手元と足元の2台(各約30センチ四方)を連動させることで、スムーズな意思伝達を可能にした。

「自分の手で動かしているのが信じられない」。梅林さんは以降、ほぼ毎日1時間、パズルゲームに打ち込むようになった。「ゲームでみんなとつながれて笑顔いっぱいの毎日。健常者とも笑い合えるように技術を高めたい」と声を弾ませるが、それだけではない。施設の理学療法士、西森智之さん(34)は「体にも良い影響が出ている」と指摘する。

筋肉の使い方が上達

以前の梅林さんは、足が床につく椅子に座っても転んでしまうことがあったが、パズルゲームを始めてから筋肉の使い方が上達、体のバランスを長く維持できるようになったという。西森さんによると、梅林さんにとっては「健常者なら平均台で長時間片足立ちしながらプレーしているようなもの」というが、「リハビリでは感じやすい痛みもゲームの楽しさが吹き飛ばしてくれるようだ」とその効果に舌を巻く。

引用:毎日新聞

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