著者 Sarah Showfety – Lifehacker US [原文] 翻訳 伊藤貴之
突然ですが、みなさんはどのようにスマートフォンを持っていますか?
小指の上にスマホの底面を置いて、人差し指、中指、薬指で背面を支えながら、親指で画面をスクロールしている?
この、多くの人がやっている、一見簡単そうで自然に思えるこの持ち方は、実は間違っています。
このように片手で掴むように持つのは、理にかなっているように見えますが、長期にわたって続けると、手首や尺骨神経を痛めるなど、さまざまな問題を引き起こすおそれがあります。
「スマホ指」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。メール腱鞘炎、メール親指、ゲーマー親指などと呼ばれることもあります。
そこに「スマホ小指」(医学用語ではない)も加えなければなりません。
Healthlineによると、「スマートフォンやタブレット、ゲームコントローラなどを持つことで最も影響を受ける指は、小指と親指」だそうで、痙攣や炎症を起こすおそれがあるとのことです。
米国メイヨー・クリニックの作業療法士で認定ハンドセラピストでもあるAnn Lund氏は、小指は小さいので「大きな指ほど圧力や固定した姿勢に耐えられない」とワシントンポスト紙に語っています。
また、ニューヨークのHospital for Special Surgeryで、手と上肢の外科医をしているMichelle G. Carlson氏も、小指でスマートフォンの重量を支えると、指と手を接続する靭帯を痛めるおそれがると指摘します。
しかし、それだけではありません。
小指でスマホを支えるのはやめようというツイートが話題になった後、英国の公認理学療法士協会のメンバーであるBen Lombard氏はHuffPost UKに、「私たちは、小指をスマホの下に置いて重さを支え、手首を内側に回して画面を顔に向けがちです。この持ち方を長期にわたって続けると、尺骨神経圧迫を引き起こすおそれがあります」と語っています。
尺骨神経は、腕にある3つの主要な神経のうちの1つで、脇の下から肘を通り、尺骨(前腕の長い骨)に沿って走行し、手のひらの小指側まで伸びています。
米国のクリーブランド・クリニックによると、「手のほとんどすべての小さな筋肉を支配している神経」なのだそうです。
尺骨神経絞扼は、「肘や手首の神経に直接圧力がかかることで引き起こされ、神経圧迫、神経痛、神経障害などにつながります」。
香港理工大学の健康技術・情報学部のPeter White助教授は、2017年の研究で、尺骨神経と並走し、前腕、手首、手、指の動きを助ける正中神経に対する、電子機器の使いすぎの影響を調べました。
White氏は、1日に5時間以上電子機器を持つ学生は、「非集中的使用者」(1日5時間未満)よりも多く手首や手に痛みを感じている、ことを発見しました。
White氏は、その後の研究で、「手首がニュートラルポジション(すべての指を伸ばした状態)から外れると、正中神経が変形する可能性がより大きくなる」ことを発見しました。
ダメージを最小限に抑えるためには、「コンピューター関連の作業では手首をできるだけニュートラルポジションに近づけ、モバイル機器の使用時には指を固定した状態にしないことが重要であり、とくに片手で使うときには注意が必要です」。
手外科医のSteve Beldner博士は、National Deskのインタビューで、誰もが小さくて薄いデバイスを望んでいるが、「私たちの手は小さなものを扱うようには設計されていない 」と話しています。
薄い物体の上を親指で操作する(関節に好ましくない負担がかかる)のではなく、「親指を外転とよばれる位置に持ってくるか、手のひらから離すのが理想」です。
そのためには、丸めたタオルやTシャツをデイバイスの裏側に置いて厚みを出し、関節に負担をかけないようにするとよい、とBeldner氏は言っています。
(こうしたアタッチメントも関節を保護する効果がある)また同氏は、手首や肘をなるべくまっすぐにして、神経の伝達をスムーズにすることも勧めています。
作業療法士のDina Delopoulos氏は、スマートフォンを使う人たちに、こまめに休憩をとり、手首に対して垂直に指を立てたり、戻したりして、屈筋と伸筋のストレッチをするようにとアドバイスしています。
同氏は、非制限的だがサポート力のあるものを使うこと、また、平らな場所にスマートフォンを置いて、可能な限り親指以外の指でスクロールすることを勧めています。
また同氏は、事例として、親指に重度の腱炎を発症し、4週間ギブスで固定しなければならなかった一人の患者を紹介していました。
まとめ:スマートフォンを睨み続けるのは、メンタルヘルスだけでなく、小指や親指、前腕の神経にとっても、不自然であり、有害です。
スクロールを止めて、手首を伸ばし、外に出ることを毎日思い出すようにしましょう。
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