パリの大舞台を目指すのはアスリートだけでない。監督やコーチたちも手を尽くしている。五輪・パラリンピックを前に、どんな思いで選手を送りこもうとしているのか。支える人たちを紹介する。
ボッチャ日本代表トレーナー 古尾谷香苗さん 39
2021年東京パラリンピックで広瀬隆喜(たかゆき)(西尾レントオール)らを擁するチーム(脳性まひ)の銅など、史上最高のメダル3個に輝いたボッチャ日本代表。喜びを分かちあいながら思った。「選手にはまだまだ伸びしろがある。もう一つ上がるイメージが湧いた」。高みを目指すパリへの戦いが始まった。
日本代表に加え、アナリストらも交えた集団「チーム・広瀬」のメンバーとして活動する。トップレベルのボッチャに関わって10年以上になるが、原点は障害児のリハビリだ。大学卒業後、理学療法士として障害がある子供たちを支援する施設で働いた。社会とのつながりを持つにはスポーツが有効で、中でも重度障害者が楽しめるボッチャは、レクリエーション・スポーツとしては最適と考え、子供たちと取り組んだ。スタッフとして大会にも参加するようになり、そこでミリ単位でボールを動かすトップ選手のプレーを目の当たりにし、衝撃を受けた。
12年のロンドン・パラ後、コンディショニング部を設立した日本協会にトレーナーとして加入し、代表の合宿や遠征に同行。東京パラを見据え、強化のスピードが急速に上がる中、報酬が出る協会の専任スタッフとなり、本格的にボッチャが仕事となった。
現場でやることの幅は広い。障害がある選手の体のケアやコンディショニング、コーチングに加え、移動や入浴、食事の際などの生活介助も大切な仕事だ。マッサージ一つとっても、「まひが強い部分が手だったり足の指先だったり、逆に感覚が過敏になっている部位もある。選手それぞれの障害の程度や特性を把握することが大事」と言う。
練習メニューも作成し、広瀬には昨年から有酸素運動を取り入れた。車いすで自転車やランニングなどは出来ないことから「寝返り」の動きを応用し、左右に30秒間ずつゴロゴロと体を動かして心肺機能を高めた。「できないことを探すよりは、今持っている能力をどう生かせるか、という視点を常に持っている」。パラアスリートのトレーニングは、文献やデータが少なく手探りだが、逆に自分の発想を自由に生かせる点に面白さを感じている。
パリで好結果を出すことに加え、競技者や子供たちの活動を支えるトレーナーやサポーターを全国に増やすことが大きな目標だ。自分がとりこになったボッチャの楽しさを多くの人に知ってもらい、その輪がどんどん広がる未来を描いている。(畔川吉永、おわり)
ふるおや・かなえ 1984年、大阪府生まれ。神戸大医学部保健学科で学び、小児専門の理学療法士として活動。ボッチャ日本代表には2013年から携わる。多くの国際大会で選手をサポートし、パラリンピックは16年リオデジャネイロ大会、21年東京大会と連続で参加した。
広瀬隆喜 リオデジャネイロ大会後に自分のチームをスタートさせてから、ずっとお世話になっています。障害がある体のセルフケアの方法や豊富な練習メニューなど、僕が40歳代以降もケガなく長くプレーできるように考えてくれている。同い年なので話もしやすい。競技のことだけでなく、お薦めの食べ物を教えてもらうなど、練習では楽しい時間を過ごさせてもらえるのもありがたいですね。
引用:読売新聞
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