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発達障害の傾向持つ「グレーゾーン」児童が増加、診断名つかず…悩み抱える保護者たち

Aug 28, 2023

発達障害の傾向がありながら、はっきりとした診断名がつかない「グレーゾーン」の子供が増えている。子供の教育方針に悩みを抱える保護者もおり、専門家は「学校や地域が連携して支援する必要がある」と指摘している。(丸山菜々子)

 福島県の会津地方在住の女性(40)は、5年生の三男(10)が不登校で悩んでいる。三男は小学校の通常学級に通っていたが、黒板の字をノートに書き写すことがうまくできなかった。授業中は落ち着きがなく、同級生とのコミュニケーションも苦手なところがある。3年生の時、担任教師に「できないのはあなただけ」と注意されたことにショックを受け、自信を徐々になくしていった。

 三男は4年生の夏、「学校に行きたくない」と言い始め、それ以降は自宅で過ごす日々が続いている。病院にも連れて行ったが、医師からは「発達障害の傾向があるグレーゾーン」と言われ、診断名はつかなかった。

 自宅ではタブレット端末を使用するなど、少しでも学習に取り組む環境を整えようとしたが、半年以上も学校生活を離れ、九九も忘れていた。三男は今年、別の学校に転校し、障害の状況に応じて柔軟に対応できる特別支援学級に入ったが、不登校の状態は今も続いている。

「グレーゾーンの子供も支援が必要」と語る鈴木医師(福島市で)
「グレーゾーンの子供も支援が必要」と語る鈴木医師(福島市で)

 福島県立医科大では、開業医の紹介状を通じて、発達障害の疑いがある子供を診断している。保護者からは「幼稚園や学校での集団生活でコミュニケーションを取ることが難しい」「落ち着きがない。学習についていけない」などの相談が寄せられ、不登校や引きこもりのケースもある。

 相談は年々増えており、同大の子どものこころ専門医・鈴木雄一医師(44)は、発達障害の認知が進んだことに加え、コロナ禍によって家で過ごす時間が増え、見過ごされてきた障害に気付きやすくなったことが背景にあると説明する。

グレーゾーンについては明確な定義はなく、同大では〈1〉発達障害の特性が生まれつきとは認められない〈2〉特定の場所でしか特性が表れない――など基準を満たさないケースを診断保留とし、引き続き経過を診ている。

 鈴木医師は、グレーゾーンの子供も「社会生活で支援が必要な子として捉えるべきだ」として、学校や地域が協力して支援する必要性を強調。「保護者が気軽に相談できる場所を増やすことも、子育てしやすい社会につながる」と話す。

     ◇

 福島県内には、発達に問題を抱える子供の教育支援に力を入れている自治体もある。

 郡山市では、特別支援学校教諭の免許を持つ「特別支援教育アドバイザー」らが全小中学校を巡回し、発達に問題がある子供の支援について学校側にアドバイスしている。

伊達市では昨年から、発達障害に詳しい大学教授を講師とした教職員向けの研修会を開き、障害を持つ子供の教育方法などを教えている。同市教育委員会の担当者は「専門家からの意見などを踏まえて、子供一人ひとりが適切な学びを受けられる環境を整えたい」としている。

  ◆発達障害 =生まれつきの脳機能障害が原因とされ、年齢に比べて落ち着きがない、注意を持続しにくい「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」、読み書きや計算が困難な「学習障害(LD)」などがある。

引用:読売新聞

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